耳鼻科トリビア 犬の花粉症
アトピー性皮膚炎の犬の中にはいわゆる花粉症となることもあります。
犬のアトピー性皮膚炎は、環境中の様々なものに対する過敏な免疫反応を示すアレルギー疾患と考えられているからです。
日本のアトピー性皮膚炎に罹患した犬の多くは環境中のダニ、すなわちハウスダストマイトに対してアレルギー検査で陽性をしまします。アレルギー検査で、スギなどの花粉に対して陽性を示す犬達が、スギなどの飛散時期に合わせて症状が悪化する場合には花粉症を考えるようにしています。
■犬の「花粉症」の原因は何でしょうか?
スギやブタクサなど様々な花粉や草などが花粉症の原因になります。
■犬の「花粉症」はどんな症状でしょうか?
通常のアトピー性皮膚炎の症状と同様の症状であり、顔面、脇の下、股、あし先、肛門周囲などに痒みがみられます。花粉症の痒みは規則性があると思われ、花粉の飛散時期や花粉が飛散している場所で悪化するはずです。例えば、スギに対して敏感な犬は2月から3月にかけて、外に散歩に出ると痒みが悪化するなどです。痒み以外として、涙目、結膜炎、鼻炎などもみられるかもしれません。
■うちの子「花粉症」かもしれない、そんなとき予防方法や対策は?
敏感な花粉が飛散している時期に外出した場合、帰宅後はブラッシングなどにより体についた花粉を丁寧に落としてあげた方が良いと思われます。またウエットタオルなどにより体を優しく拭いてあげるのも効果的です。花粉症だけではなく、アトピー性皮膚炎の犬は敏感肌を持っていることから、普段から予防的に薬を内服する、または塗り薬をつける。
■先生に診断してもらうために、ペットオーナーはどんな情報を伝えばいいでしょうか?
外に出ると痒みが悪化する、帰宅すると痒みが落ち着くといった症状が出るタイミングや環境の情報は非常に有用です。それらの情報をふまえて血液検査で陽性の場合には花粉症である可能性が高いと考えるようにしています。
繰り返しになりますが、花粉症は血液検査で陽性を示した花粉や雑草に触れると生じるものです。花粉が飛散している時期にそれらに触れる機会の多い外出などで痒みが悪化します。帰宅してブラッシングなどにより、付着した花粉を取り除いてあげれば症状が緩和します。健康な犬でも血液検査で陽性になることはあり、血液検査で陽性であったとしても、このような規則性がみられない場合には、花粉症は否定的です。犬の症状と検査や治療などから総合的は判断が必要となります。
耳鼻科トリビア 熱中症になりやすい犬
犬はあまり汗をかくのは得意ではありませんので、それ以外の方法で熱を下げようとします。そしてその方法とは呼吸です。犬は体に溜まった熱を空気交換することで放出します。
犬は体が熱くなるとまるで機関車の様に、『ハァハァ』ってやってませんか?
つまり、熱交換に呼吸が重要という事は、呼吸が下手な場合は熱交換も下手で熱中症になりやすいと言えるのです。
代表的な犬種で言えばブルドック、シーズー、パグ、ペキニーズなど、分かりやすく言えば鼻ペチャの犬種です。
この犬種はとても見た目が愛らしく私も好きなのですが、
体の特徴的に
- 鼻の穴が狭い
- 空気の入り口(喉頭)が狭い
- 気管(肺までの空気の通り道)が狭い
という子がとても多いのです。
そして、この体の特徴を持つ中で、普段の呼吸をする際に『起きているのにイビキをかいてるような音がする子』は明らかに呼吸が苦手なので熱中症に特に気をつけなければなりません。
暑がりの犬
代表的な犬種で言えば、ハスキー、アラスカンマラミュート、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、全てではないですが毛がフサフサモフモフ系は原産国が寒い国であることが多いです。
寒さに弱い犬とは?
幼犬/高齢犬
幼犬や高齢犬はうまく自分での体温の調整ができません。飼い主さんがしっかりと暖かい環境を用意し、保温対策を行ってあげましょう。また、成犬だとしても、病中や病後は寒さに弱くなるため、飼育環境には十分な配慮と注意が必要です。
小型犬
小型犬と呼ばれる犬種は「身体が小さい」「地面に近い」という理由で寒さには弱いといわれています。身体が小さいことで体温が保ちづらく、地面に近いことで冷気を感じやすいのです。
室内飼育の犬
中型犬や大型犬、元は寒さに強い犬種だとしても、室内での生活によって寒さへの耐性が弱まっていきます。
シングルコートの犬種
犬の被毛には「ダブルコート(二重毛)」と「シングルコート(単毛)」の二種類があります。ダブルコートは「オーバーコート(上毛)」と「アンダーコート(下毛)」の二重構造からなり、寒い地域原産の犬種に多く見られます。シングルコートの犬種はアンダーコートがほとんどなく、人間によって「室内飼育」を目的として改良されました。そのため寒さには弱い犬種が多くなります。
スムースコートの犬種
犬の毛質には大きく分類すると「スムースコート」「ショートコート」「ロングコート」「ワイヤーコート」「カーリーコート」の5種類があります。この中でもスムースコートは光沢のある滑らかな毛質です。ドーベルマンやフレンチブルドッグの毛質がこのスムースコートにあたります。スムースコートの犬種は被毛がつるつるしていて短い分、寒さには弱いといわれています。
寒さに弱い犬種
- チワワ
- トイプードル
- ヨークシャーテリア
- イタリアングレーハウンド
- ウィペット
- ミニチュアピンシャー
犬にとっての最適な温度は、長毛犬種は15℃~20℃、短毛犬種は20℃~25℃だといわれています。寒い時期には寝床を直射日光の当たらない暖かい場所へ移動、カーペットや毛布を敷くなどの寒さ対策を行いましょう。また、散歩の際も歩くから温まると油断せずに、洋服を着せるなどの対策が必要です。室外飼育の犬の場合、犬小屋に隙間風が入らないようにすることや、冬場は小屋に毛布を敷くなどの対策をしましょう。
耳鼻科トリビア 熱中症
熱中症(ねっちゅうしょう)とは、体内にたまった熱を外界に逃がすことができず、全身の機能が不全に陥った状態です。
もともと寒さには非常に強い動物ですから、温かな被毛に覆われているばかりでなく、余分な体温の低下を防ぐために、体表には汗腺がほとんどありません。
犬は、汗腺が足の裏の肉球など限られた部位にしかないため、人間のように全身で汗をかくことができません。その為、人間には少し暑いかなと感じる程度でもかなりの負担となります。
時に命に危険が及んだり、深刻な後遺症が出たりする怖い病気で、汗をほとんどかかないイヌは、人間と違って、熱中症にかかりやすい。
犬が舌を出して荒い息をしているのは、その環境が暑すぎるというサインです。特に短頭種は熱中症になりやすいため、充分な注意が必要です。
熱中症の症状
熱中症の症状■初期段階
急激な体温上昇により、ハァハァと浅く速い呼吸(パンティング)が起こる。
犬は暑さにさらされると浅く速い呼吸を始めます。舌を出し唾液を蒸発させて体温を下げようと、熱中症の初期症状はこのパンティングがさらに速くなり、喘ぎながらよだれを流し始めます。
熱中症の症状■それから、次第に……
目や口腔粘膜が充血して、赤色になる。
ぐったりして元気がなくなる。
さらに、目や口腔粘膜の充血(赤レンガ色、やや暗めの赤色)が起こってきます。
熱中症の症状■悪化してくると……!?
粘り気のあるよだれを垂らす。
嘔吐や下痢をする。または、一時的にふらついて倒れてしまう。筋肉の震え・けいれん発作が見られる。
症状がかなり進行すると、吐血や下血(血便)、血尿といった出血症状が見られたり、酸素をうまく取り込めずチアノーゼが見られたり、最悪の場合はショック症状を起こし、命に関わることも。
もし熱中症になったら
もし熱中症になったらまずは体を冷やします。体を冷やさないまま病院へ行くのは症状を悪化させ非常に危険です。
もし発見が早くまだ意識がある状態であれば、冷たい水をたくさん飲ませ、体全体に水をかけたり保冷剤を当てたりして、体の内外から冷やして体温を下げましょう。
また、飲み物は普通のお水よりスポーツドリンクなどナトリウムが入っているもののほうが体になじんで水分がうまく吸収されるため、スポーツドリンクなどあればそちらを飲ませましょう。
■意識が遠のいている状態なら
もし熱中症になったら涼しい場所で、水道水や冷却パック等を首や脇、肢の付け根などに当てながら冷やし、呼吸が落ち着き、耳を触って普段と同じくらいの温かさになるまで注意して観察する。
可能であれば、涼しい場所に犬を移動してください。室内の場合、犬の体温を下げるのに役立つ、エアコンやファンをつけましょう。
同時にかかりつけの動物病院に連絡し、できるだけ早く連れて行きましょう。携帯電話などに、あらかじめ動物病院の連絡先を入れておくと便利です。
耳鼻科トリビア 犬の鳴き声
遠吠えする時の心を読みとろう
離れている相手に連絡を取っている時、または、誰かの居場所を確認している時、自分の居場所を伝えたい時遠吠えをします。
■尾を引くシンプルな遠吠えは、
“ここにいるよ”などという意味があります。通常は何の前触れもなく始まり、断続的に繰り返します。自分の縄張りの主張です。
そういう遠吠えは、一匹が遠吠えを始めると、連鎖が起きて、ご近所の犬も次々と、遠吠えをし始めます。
これは、他の犬たちが、“君の声が聞こえたよ”という返答しているのです。
■高い声で吠えた後の遠吠えは、
“独りぼっちで寂しいよ~”と、孤独感を感じている時です。自分に気づいて欲しい、という願望を表しています。
■中程度のトーンの遠吠えは、
“誰か助けて!”と言っています。これは、かなり寂しい思いを、している犬が出す声です。
自分に注意を集めるために、なりふり構わず何度も何度も、遠吠えを繰り返します。
飼い主のあなたがいない時にも、“寂しいよぉ~”“何処に行ったの?”と、あなたの愛犬も、遠吠えをしているかもしれませんね。
高鳴きから心を読みとろう
高鳴きとは、耳に響くような高いトーンの声で鳴くことです。
■代表的な高鳴きは、キュンキュンという鳴き声です。
ちょうど子犬が母犬におっぱいをねだるときのように、
“おなかがすいたよ”
“遊びたいよ”
“散歩に行きたいよ”
などの気持ちを伝えています。
こんな鳴き声は、何かを要求するという意味があります。
■キャンと非常に短い高音の鳴き声
子犬同士が遊んでいる最中に、一方が強く噛みすぎた時などに、よくこんな風に鳴きます。
“痛い!”などの意味があります。
子犬たちはこの声をきっかけにして、どの程度の力でかんだら、相手に苦痛を与えるのかを徐々に、学習しているのです。
鼻声で心を読みとろう
■クーンという鼻声の場合
上位者に対して恐怖心や服従心を表すときに発せられる声です。
自分はか弱い存在ですから、服従を認めますという意志を、相手に伝えています。
■弱々しい鼻声の場合
どこか知らない場所につれて行かれて、怖くて仕方が無い時の“怖いよう”という意味の、鳴き声です。
動物病院などで、予防注射などの、痛い思いをした犬は、病院に行く度に、こんな鳴き声をしがちです。
■低めの声の場合
好きなことを目前に控えて、興奮している時や喜んでいる時、“早く行きたいなぁ”などの意味があります。
うなり声から心を読みとろう
■弱く低いうなり声は
“やめろ”“あっちに行け”などの意味があります。
自信満々の典型的なうなり声で、警告を意味します。
日常生活では、食事中や、好きな玩具を取られそうな時、知らない人が近づいてきた時、などに発します。
■やや低めの小さな唸り声
“いざとなったら戦うぞ”という意味があります。
あまり自信のない時に出す声で、気は進まない時には発します。
■高くなったり低くなったりする
唸り声 非常に自信のない犬が、強がりで発する威嚇です。
声がときどき途切れがちになるのは、戦うべきか逃げるべきか、自信がなく、あいまいな感情を意味しています。
耳鼻科トリビア 犬の睡眠時間
犬が必要な睡眠時間
私たち飼い主から犬を見ていると、「本当によく寝ているなぁ」という印象を受けるかと思います。
うつ伏せになったり、仰向けになったり。老犬になれば、ご飯や散歩、トイレのとき以外はだいたい寝ているなんてこともよくあります。
ワシントン大学の調査では、犬の平均睡眠時間は10.6時間。
我々ヒトの平均よりすこし長めです。また、活発な犬種は睡眠時間が短め、ゴールデンレトリバーなどの大型犬は長めとの記事もありました。 チワワ、トイプードル、柴犬、ダックスフンド、コーギー、パグなど人気の犬種はいずれも12時間以上、子犬の場合は18~19時間の睡眠が必要とのこと。
ただし、これは一日のトータルであり、この時間ずっと寝続けるということではありません。
どうやら犬は、ヒトより多くの睡眠を必要とする動物のようです。
それなら私たちの活動時間に、犬がよく寝ていても不思議ではありませんね。
どうして犬の睡眠時間が長いのか?
ヒトと同じように、犬の眠りにも「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があります。「レム睡眠」とは、浅い眠りを指し、体は寝ているが、頭は起きている状態。「ノンレム睡眠」は深い眠りを指し、心身共に休んでいる状態で、この時ホルモンを分泌したりストレスを消去したりしています。
犬の場合、眠りの8割が浅い眠りの「レム睡眠」です。ぐっすりと熟睡している「ノンレム睡眠」の時間は、じつはたった2割程度です。
犬がわたしたちより長く睡眠を必要としている理由はここにあります。
元来、犬は夜行性の動物で狩りをして暮らしていました。野生には外敵も多くいます。
ボンヤリしていては身に危険が迫ることもありますから、すぐに反応出来るよう、浅い眠りを長くつづけていたと言われています。
たまに、飼い犬の寝言を聞きませんか?手足をピクッとさせたり、小さく吠えてみたり。
研究によれば、レム睡眠中、犬も夢をみているようです。
また、横倒しになり、ときに仰向けになって眠っている姿が見られたら、それは飼い主さんを信頼して深く眠っている証拠。
このノンレム睡眠はよほど安心していないと訪れないそうですから、飼い主さんが安心できる環境を提供出来ていることになります。
飼い犬の無防備な姿は微笑ましく、思わずクスッとなってしまいますよね。
ヒトと犬の睡眠は似ているようで違います。 飼い犬の睡眠時間を確保し、妨害しないよう、ゆっくり寝かせてあげましょう。
犬の睡眠時間を快適なものにするために
では、犬に快適な睡眠をしてもらうにはどうしたら良いのでしょう?
飼い犬にあった睡眠時間の確保は言うまでもありませんが、わたしたちは飼い犬の可愛さについ抱きしめて一緒に寝てしまいがち。
でも、そこはグッと我慢です。なぜなら犬は、その昔は、薄暗い穴倉で寝ていました。
なので、それに近い状態の寝床を提供するのが理想とされています。 穴倉に近づけようとするなら、囲いがあって、ある程度狭さのある薄暗い環境がベストと言えるでしょう。
また、大型犬であれば寝ている間に汗をかきやすいですし、寝床は通気性の優れた環境にしてあげましょう。
ベッドタイプで高床のもの、犬の体が床と接さないものが良いとされています。
冬場などは床に直接寝てしまうと犬の体が冷えてしまいます。
タオルケットを敷き、毛布をかけるなどして温度を調整し、また保温クッションで体をあたためてあげましょう。
犬が暑さを感じたら、離れられるような仕組みにしてあげてくださいね。
ケージなどに入れて休ませる場合は、ダンボールでケージを囲むだけでもあたたかくなりますよ。
耳鼻科トリビア 犬の味覚
味を感じる「味蕾細胞」
人や犬には味を感じる器官・味蕾があります。人の味蕾は甘味・苦味・酸味・塩味・うま味の5つの味覚を感知することができ、約1万個も存在しています。一方、犬の味蕾ではうま味以外の4つの味覚しか感知することができず、数も人の5分の1、2,000個程度しかありません。単純に味蕾の数が少ないため、犬の味に対する感度は人に劣ります。しかし味蕾があることは確認されているため、まったく味を感じていないわけではありません。
犬が感じる味とは?
犬は、どのような味を感じているのでしょうか?味ごとにまとめてみました。
- 甘味
果糖やショ糖、フラノールやメチルマルトールなどに反応して甘さを感じます。4つの味覚の中で最も敏感に感知できると言われています。 - 苦味
キニーネなどの苦み成分に反応して苦みを感じます。 - 酸味
アミノ酸や無機酸などに反応して酸味を感じます。甘味と同じく、比較的敏感に感知できると言われています。 - 塩味
ほとんど感じません。
このように、犬は味覚に鈍感とはいえ、甘味と酸味には敏感であることがわかります。
犬にとっては食べられるかどうかが重要
犬は味覚よりも嗅覚の方が発達しています。そのため、まずは匂いで「食べられるかどうか」を判断します。味は二の次と言って良いでしょう。犬にとって、食べものはおいしいかどうかということよりも、「食べられるかどうか」が重要かもしれません。
人の唾液には消化酵素が含まれており、食べものを口に入れるとすぐに消化が始まります。また、食べものをよく噛まずに飲み込むと消化不良を起こすことがあるため、人は食べものをしっかり噛み、ある程度消化して飲み込みます。味覚が発達しているからこそ人は「味わって食べる」喜びを感じられるのかもしれません。
一方、犬の唾液には消化酵素が含まれていません。口はあくまでも食べものを胃に運ぶための器官でしかないため、人のようにゆっくりと口の中で味わって食べる必要がないと言えます。犬の味覚があまり発達しなかった理由の1つと言えるでしょう。
おわりに
犬も、人と比較するとかなり弱いものの、味を感じています。また、味覚が弱いとはいえ、甘味を最も敏感に感知できることが分かりました。甘いサツマイモや犬用クッキー、ボーロなどを好む犬がたくさんいることや、病院で苦い薬を吐き出そうとする犬がいることも納得です。
しかし塩辛いものや煮干しが大好きな犬もいるため、味の好みについては一概には定義できず、個体差があると言えるでしょう。さまざまな味のものを食べさせて、愛犬が好む味を探してみることも楽しいかもしれません。
耳鼻科トリビア 犬の鼻
犬の嗅覚は、人の百万倍~1億倍の能力をもっていることになります。
- 人間の汗や靴下に含まれる酢酸のにおいでは100万倍
- にんにくの臭いでは2,000倍
- 肉や脂のにおいでは1億倍
という実験結果があります。
コップ1杯の臭い分子を100万倍に薄めても、犬は十分嗅ぎ分けられることができます。
犬には匂いの階層化という特殊な能力があるといわれます。これは、複数の匂いが交じり合っていても、個々のにおいをかぎ分けることができるという能力のことです。たとえば、犬がカレーライスのにおいを嗅ぐと、カレーの香辛料の匂いはもちろんのこと、その中に含まれるライス、タマネギ、にんじん、じゃがいもなど、個々の食材の匂いまでかぎ分けることができるというのです。
耳鼻科トリビア 犬の耳
1.犬の可聴域
可聴域とは聞き取れる音の範囲のことをいいます。(単位:ヘルツ)
犬の可聴域 …40Hz~60,000Hz(文献によっては、100,000Hz)
人間の可聴域…20Hz~20,000Hz
犬の聴力は犬種による違いはほとんどないとされ、また、体の大きさにも相関性はないようです。
犬にとってもっとも感度がよい周波数は8,000Hz付近といわれ、65Hz以下は聞こえないようです。
野生の小動物が発するカン高い小さな鳴き声を聞き取り、獲物の居場所を素早く発見します。また獲物を追うためだけでなく、天気の変化に敏感で遠方の雨や雷の音を少しでも早く察知して、住家に戻ったり川などの傍から離れる必要があるためさらに聴覚が発達しました。
ワンちゃんは人と比べて高い音の聞こえ方が違います。この高周波の音が苦手で掃除機などを怖がるようです。
犬猫は低い声よりも高い声の方が好きで男性よりも女性の声を好みます。
褒めるときは高めの声を、叱るときは低い声を使い分けると良さそうです。
2.犬の聴力
犬の聴力は、人間と比べて「4倍の遠くの距離」まで聞くことができます。
しかしこのずば抜けた耳の良さは、騒音の多い現代社会ではデメリットになることがあります。大きな物音に敏感に反応して驚いてパニックになってしまう犬猫もいるのです。
雷や花火などの突発的な大きな音はパニックになりやすい音と言えます。
小さい時から騒音の多い場所へ連れ出し、慣れさせることが必要です。
犬が消防車やパトカーなどのサイレン音に呼応してよく吠えるのは、サイレン音の周波数が遠吠えの鳴き声とほぼ同じなので本能的に他の犬の呼びかけに対して答えようとしているのです。
最後に
寝ている時は嗅覚は機能を停止していますが、聴覚は活動しており物音を立てるとすぐに起きます。
犬が番犬として活躍できるのは、この常時物音を察知して反応できる聴力のおかげです。音を聴き分ける能力が高いので「音」の情報が多すぎる環境は混乱し嫌いです。
また 犬の怖がるものの順位は以下になります。
1.音 2.光 3.火 4.死 5.理解しがたい現象になります。