耳鳴り・難聴はなぜ起こる?

耳鳴りの正体は内耳で生じる摩擦音

耳嗚りのつらさは、なった人でなければわかりません。
それは、ただうるさいとかわずらわしいというだけでなく、人や社会のコミュニケーションを阻害するからです。それが高じると、うつ状態や引きこもりに陥ることもあります。
また、患者さんをさらに苦しめるのが、周囲の無理解です。耳嗚りのつらさは家族にも理解されず「気のせい」「耳嗚りで死ぬことはない」などという周囲の言葉が、患者さんを傷つけます。

耳嗚りはなぜ起こるのでしょうか。

私たちが聞いている音は、空気の振動です。振動は外耳道、中耳を伝わり、内耳で電気信号に変わります。そこから聴神経、脳幹を経て、大脳の聴覚野で初めて音として認識されます。そのどこかに異変が生じると、耳嗚りが始まります。

いちばん多いのは、内耳の障害です。音は内耳にある蝸牛という器官で細胞が膜とこすれ合うことにより伝わります。この内耳の血流が悪くなるなどの原因により、摩擦音が異常に強く聞こえると耳鳴りとなって響くのです。

耳嗚りを起こす8つの原因とは?

  • 顎関節症
  • 内耳の異常興奮
  • 化学物質の害
  • 毛細血管の血行不良
  • 薬物中毒・脳の劣化
  • 音響外傷
  • ヘルペスウイルス
  • ストレス・生活の乱れ・睡眠障害

蒸しタオル療法 聴力やめまいも改善

耳鳴りやめまいが起こる方はあごの骨格が歪んでいることが多いです。耳の内部や耳たぶの後ろにあるリンパ節が詰まり血流も悪くなり、耳の各器官に血液がじゅうぶんに行き渡らなくなります。これらが原因の耳鳴りやめまいの症状の回復に、「蒸しタオル」で耳を温め、滞ったリンパ液と血液の流れを促すことが効果的です。

  1. 水で濡らしたタオルを、電子レンジで1分ほど温める
  2. 温めたタオルを、耳鳴りのするほうの耳に5〜10分間当てる。両方の耳に耳鳴りがある場合は、片方ずつ行う

※1日につき1回を目安に行う。血行がよくなっている入浴後から就寝までの間の時間帯がお勧め
※ヤケドに注意して行うこと

アルミ湿布 足首のツボにホイルを貼るだけで耳鳴り・難聴を撃退

鍼治療は、金属製の鍼を肌に接触させることにより体内に微弱な電流を生じさせ、ツボなどに大きな刺激を与えられます。アルミホイルが皮膚に触れることで、鍼治療と同様に微弱な電流が体内に発生します。

  1. アルミホイルを約3cm×3cmの大きさに切る
  2. 太谿のツボにアルミホイルを当て、バンソウコウや医療用のテープで留める

足の内くるぶしとアキレス腱の間のくぼんでいるところにある
※一日じゅう貼っていてもいい。日中に貼るとじゃまになる場合は、就寝時だけでもかまわない

耳輪ゴム 温熱とツボ刺激のダブル効果!

耳は、経絡(東洋医学で気の通り道)と有効なツボが集中する重要な部分です。耳輪ゴムでそれらのツボを誰でも効果的に、いっぺんに刺激できます。

※10分間は目安。痛くてがまんできなければ、10分たたずに外してよい
※1日1回以上、毎日行うのがお勧め

❶ 貼るタイプの小さいカイロを2つに折り、耳を包み込むように貼りつける ❷ 輪ゴムを耳にひっかけ、8の字にひねって巻きつける ❸ 2本目の輪ゴムを同じように巻きつける。10分間置いた後、もう片方の耳も同様に行う

耳鳴り・難聴を自力で治す 「生活習慣」

ペンギン体操

めまいや頭痛、不眠が治った人も!寝る前に行うのがお勧め

ペンギンのようなポーズを取ることで、体の中心にある軸を整えてゆがみを矯正します。続けることで体のゆがみの修正だけではなく、外耳道の変形を改善し、耳小骨のずれ、鼓膜の引きつりやたるみが解消されます。

❶ 両足を肩幅程度に開いて立つ。両腕を45度の角度で広げ、両手首を可能な限り上に反らせる

❷ 耳鳴りのひどい側から首をゆっくり傾ける。傾けた状態で鼻呼吸を3回する

❸ ❷と同様に反対側にもゆっくり首を傾け、鼻呼吸を3回する。❶〜❸を3度くり返す。すべての動作をゆっくり行う

耳鳴りの症状が進んだ人は、顔を少し前方に倒しながら首を左右に傾けると、より効果的

ハチの羽音呼吸法

脳の緊張を取り耳鳴りや耳閉感が5分で改善した例も!

耳鳴りが悪化するのはストレスや緊張が大きくかかわっています。ゆったりと腹式呼吸をし、緊張を和らげることで耳鳴りを改善します。

❶ イスに座ってテーブルに両ひじをつき、上体を前に傾ける。手の人差し指を両耳の中に浅く入れ、目を閉じる

❷ おなかがふくらむのを意識しながら、鼻から息をスッと短く吸う

❸ 小さな低い声で「ウーン」といい続けながら、おなかをヘこませるようにして、鼻から息をゆっくり長く吐く

❹ 苦しくなる一歩手前で、鼻からスッと短く息を吸う。

 ❷~❹を運統して5分を目安に、この呼吸をくり返す

1日5分、12週間を目安に続けてください

音楽療法

難聴の耳は積極的に使ったほうがいい!突発性難聴に効果あり

難聴を発症した方の耳を積極的に使うことにより、脳が刺激されて機能を回復させようとし、症状の改善につながります。

1日につき6時間、クラシック音楽を聴く

使用する音楽は、モーツァルトやベートーベンなど、複数の作曲家によるもので、比較的穏やかな曲にする

正常なほうの耳に耳栓をし、外界からの音を間こえないようにしたうえで、聴力の衰えたほうの耳だけで音楽を聴く

音楽は6 時間聴き続けてもいいし、断続的に聴いてもかまわない。また、その間は本を読んだりしてもOK

水飲み療法

利尿剤と同様の効果でリンパ液の流れをスムーズに

内耳のリンパ液の流れが滞ると、聴力低下や耳鳴り、めまいなどの症状が起こってきます。そういっためまいや耳鳴りに対して、耳鼻科では尿の排出を促す利尿剤を処方するのが一般的です。水飲み療法は大量の水を飲むことで、滞ったリンパ液を排出する利尿剤と同様の効果が期待できます。

❶ 初めは1日1ℓから開始し、3日間続ける
❷ むくみや体調不良がなければ、水を1日1.5ℓに増やし、3日間続ける一度に大量に飲まず、時間をかけて少量ずつ飲む
就寝の2時間前までに飲みきるのが理想的

❸ 問題がなければ、1日2ℓに増やし、3日間続ける
❹ 問題がなければ、以後、毎日続ける

水飲み療法に加えて、かかとの真ん中にある「失眠」のツボを入浴中にゲンコツで剌激すると、さらに効果アップ!

快聴ウオーキング

耳栓を軽く耳に入れて歩くだけ!

耳栓をして歩くことで、内耳にあるアブミ骨筋という鼓膜からの振動を調節する筋肉を柔軟にし、耳鳴り・難聴に効果が期待できます。

最初は1日30分歩くことを目標にする。
週に3〜4回は歩き、回数や時間を徐々に増やしていく。歩く場所は、公園など、車や自転車が通らない安全なところを選ぶ。耳栓をして、やや速めの速度で歩く。
使用する耳栓は、通常のものではなく綿を丸めたものにする。

カメのポーズ(医療ヨガ)

頭部への血行が改善し耳鳴りを撃退

耳鳴りの原因となる首や肩のコリをとり、血流やリンパ液の流れを促進します。
耳鳴りやめまい、関節痛など、さまざまな症状の改善に効果があります。

呼吸の練習(カメのポーズの前に行う)

あおむけになり、左右の手のひらを重ねておなかに置く。おなかを膨らませながら鼻から息を吸い、おなかをへこませながら鼻か口から息を吐く呼吸を、2〜3回ゆっくり行う

❶ うつぶせになり、手を肩幅より少し広めにして前に伸ばし、あごを軽く上げる

❷ 息を吐きながら、体の軸を中心にゆっくりと右へ60度回転し、息を吸いながら元に戻る

※❶〜❸を1セットとし、1日に1〜2セット行う

耳鳴り・難聴を自力で治す 「食事」

血管の拡張を抑え脳を安定させる食品をとろう

原因不明の耳鳴りの大半は、脳の過敏症によって起こることがわかってきました。脳の過敏を抑えるために特にお勧めしたい栄養素は、血管の拡張を抑えるマグネシウム、神経の興奮を抑制するビタミンB2です。神経を安定させる食物繊維、脳の興奮を鎮めるカルシウムなども、しっかり取りたい栄養素です。

大豆類、海藻類、魚介類、キノコ類、根菜、緑黄色野菜などは、この栄養素を多く含む食品としてお勧めです。これらを多く使う和食は、総じて脳過敏を抑える効果が高いといえます。

脳過敏症候群による耳鳴りを改善する食品

マグネシウムを多く含む食品

ヒジキ・ワカメなどの海藻類、大豆・大豆製品、魚介類、ゴマなど
ビタミンB2を多く含む食品

イワシ、牛乳、納豆、焼きノリなど
食物繊維を多く含む食品

ゴボウ、寒天、イモ類、キノコ類など
カルシウムを多く含む食品

牛乳・乳製品、コマツナなどの緑黄色野菜、シシャモなどの小魚、桜エビなど
悪化を促すNG食品

赤ワイン、チョコレート、オリーブオイル、チーズ、柑橘類、ハム・ソーセージ類、うま味調味料など

耳を若返えらせる 「常備菜」

腎は生命エネルギーの根源

腎の機能低下を引き起こす原因は主に老化です。対策としては滋養強壮効果の高い食品を食べることが重要です。

クルミ黒ゴマペースト

刻んだクルミ30gと、黒ゴマ30gをいっしょにすり鉢でする。
これにハチミツを加えたり、ヨーグルトに入れたりしてとる。

黒豆の黒砂糖煮

黒豆200gを水に漬けて一晩おく。
そのまま火にかけ、やわらかくなったら100gの黒砂糖を加える。水気がなくなるまで煮詰めたら完成。

ナガイモの漬け物

しょうゆとみりんと酢を大さじ6ずつ、好みで細切りにしたコンブを保存容器に入れる。
ナガイモは皮をむき、縦半分に切って保存容器で漬け込む。
冷蔵庫で一晩おいたら完成。

ワーンと響く耳鳴りの解消に 「黒豆の煮汁」

神経と血流が活性化します
❶ 黒豆50gをさっと洗い、水1ℓに5〜6時間漬けておく
❷ 豆を漬けた水ごと火にかけて、沸騰したら弱火にし、水が半分になるまで煮る
❸ 煮汁を茶こしなどでこす。残った黒豆は、料理などに使う
❹ 2〜3回に分け、1日で飲みきる。ハチミツを少量加えてもよい

脱水症状による耳鳴り・難聴にお勧めドリンク 「レモン水」

夏場の熱中症対策にも!

特に暑い季節に摂取する水分として「レモン水」がお勧めです。
「レモン水」の効果

  1.  動脈硬化を予防する
  2. 血液をサラサラにして血管を丈夫にする
  3. クエン酸が疲労回復を促す
  4. 適度な塩分補給が熱中症予防になる
レモン水」の作り方

❶ミネラルウォーターに搾ったレモン果汁を入れ、さらに少量のハチミツと塩を加える
❷レモン汁の量は、好みに合わせて調整する。お勧めの分量は、2ℓの水にレモン1個を搾って作ったもの
❸1日1.5〜2ℓを目安に飲む。1時間に1度くらいのペースで、こまめに飲んでいれば、2ℓ程度は無理なく飲める

血流改善の効果 「酢タマネギ」

血行不良は耳の機能を低下させ、耳鳴りの原因となります。血液をサラサラにする「タマネギ」と「酢」のダブル効果で、より強力に血流を改善します。

原因不明の耳鳴りやめまいにお勧め

※朝晩2回、食事時に約50g(小皿に1杯程)食べる
※1日にさかずき1杯(10〜20mℓ)の漬け酢も飲む

❶ 皮をむいたタマネギ1個を半分に切り、薄切りにする ❷ ❶を1〜2分ほど水にさらした後、水気を切り、塩を少々振りかけて混ぜる
❸ ❷を密閉容器に入れ、タマネギが浸るくらいまで酢を入れる ❹ 適量のハチミツを少量の湯で溶かし、❸に加えてよく混ぜる。ふたをして5日間冷蔵したら完成

「特効ポイント」 で耳鳴り・難聴を改善

    突発性難聴の患者さんは例外なく、胸鎖乳突筋が極度に硬直し、筋肉が浮き上がっています。血液やリンパ液の流れを促して耳鳴りを改善します。

    首の筋もみほぐし

    高血圧、不眠、頭痛が改善した人も

    ポイントは、痛みを感じない程度に力を入れて、ゆっくり筋を押すことと、押すときに口から静かに息を吐くことです。

    1日1回以上、毎日くり返す

    首をねじったときに、反対側の首の側面に現れる筋状の筋肉(胸鎖乳突筋)

    ❶ 首を右にねじって、左の胸鎖乳突筋を確認する。始点となる乳様突起の後ろ側に、左手の親指の腹を置く

    ❷ 鼻から3秒かけて息を吸い、2秒間息を止める

    ❸ 口から10秒かけて静かに息を吐きながら、指にゆっくり力を入れて軽く押す

    ❹ 親指を胸鎖乳突筋の後ろ側に沿って、少しずつ下げながら、❷~❸の要領で終着点となる鎖骨まで5〜6ヵ所押す。反対側も同様に行う

    耳の裏さすり

    脳神経に働きかけて劇的効果

    スマートフォンやパソコンの使用による目の酷使や、ストレスによる神経の誤作動で、頭痛や耳鳴りなどが起こる場合が多々あります。耳の裏にある脳神経の合流点を刺激して、正常な状態にします。

    耳の裏は脳神経や血管が密集しているく
    ❶ 人差し指、中指、薬指の3本で、耳たぶの裏から後頭部の髪の生えぎわまでを軽くさする。30秒程度が目安
    ※食後30分間と飲酒後を避ければ、いつ、何回やってもOK

    ❷ 人差し指と中指の2本で、耳の上部から耳たぶの下まで耳の裏側を上下にさする。
    ※❶〜❷を耳の裏が温まるまで適宜くり返す。ごく軽い力で優しく行う

    合谷の指圧

    手の甲にあるツボ「合谷」への指圧です。合谷は、五感すべての不調や病気に有効なツボといわれています。

    ● 人差し指と親指の骨が交わる部分の骨のきわを押す

    ● 低音の耳鳴りがする人は、押すと気持ち良く感じる側の手の合谷を剌激する

    ● 高音の耳鳴りがする人は、押すと痛みが強い側の手の合谷を刺激するく

    5〜10秒かけてゆっくりと、3〜5回押す

    イタ気持ちいいと感じる程度の力加減で、1日に2〜3度行う

    快聴ツボ

    耳鳴りが消失した人続々!

    首の後ろにある天柱というツボは、東洋医学では耳鳴りに効く特効ツボとされています。
    キーンという金属音や、ジージーという虫の鳴き声のような耳鳴りに高い効果があります。

    ❶ 後ろ髪の生え際辺り、2本の太いすじの外側のくぼみにある「天柱」のツボを、親指でギューッと力を込めて、5抄ほど押す。これを4〜5回くり返す。く
    ❷ 耳の後ろから、首の側面、首の後ろにかけて、手で20秒ほどよくもむ。

    ❶ 〜❷を1セットとして、1日2〜3セット行う

    耳ひっぱり

    聞こえがよくなり耳鳴りも改善

    鍼灸や整体、ウォーキングなどで耳嗚りが和らぐ人は、耳ひっぱりがよく効く可能性が高いでしょう。耳ひっぱりを行うと、年を取ることで耳の位置が下がって折れ曲がった外耳道がまっすぐになり、音が大きく、クリアに聞こえるようになります。

    ❶ 反対側の指で、耳の上をつまむ
    ❷ 軽く上にひっばって、20〜30秒間その姿勢を保つく
    ❸ 左右の手と耳を入れ替えて、反対側も同様に行う
    ※首の両横にある太い筋肉(胸鎖乳突筋)もいっしょに伸ばすように耳をひっぱると、さらに効果的
    起床時と就寝時、またはふろ上がりなどに、1日2回行うのがお勧め
    肩や腕に痛みのある人は、同じ側の手でひっぱってもいい

    耳たぶ回し

    筋肉の緊張をゆるめて顎関節症の緩和も

    耳周辺の血液とリンパ液の流れがよくなり、神経の機能が正常化します。

    耳たぶを回す❶ 耳のつけ根を軽くつまみ、後ろに5回クルクルと回す

    ❷ ほお骨の下縁から、えらに向かって斜めに軽くなで下ろす。左右5回ずつ行う
    ❸ もう一度 ❶を行う
    両方やるのを1セットとして1日2〜3セット行う

    あごを前後左右に動かす❶ 下あごを左右にずらす動作を5回行う

    ❷ 下あごを前に突き出し、後ろに引く動作を5回行う

    ❸ 下あごを前に突き出しながら、大きく口を開ける

    耳鳴り